はじめに
「昨日まで元気に登校していたのに、急に“学校に行きたくない”って…どうしたの?」
そんなふうに、ある日を境に子どもが学校を嫌がり出す――それは、決して珍しいことではありません。
特に小学1年生の5月、ゴールデンウィーク明けは、多くの子が「心と体のバランス」を崩しやすいタイミング。
子どもは不安やストレスを言葉ではなく“身体の不調”として訴えることがあります。
今回は、小児科医・心理士の視点から、
「学校に行きたくない」と言い出す子どもの心理を読み解き、
親ができる関わり方を丁寧にお伝えします。
なぜ?原因分析|子どもが「行きたくない」と言う背景
● 小学1年生の発達段階を理解する
小学1年生(6~7歳)の子どもは、以下のような特徴を持っています。
- 新しい環境に適応中:入学後は新しい先生・友達・ルールの中でがんばっている
- 自立心と不安が交差する:自分でできるようになりたいけど、親から離れるのは不安
- 疲れていてもそれを伝える言葉がない:感情や体調を“うまく言語化”できない
● 「GW明け」に起こりやすい理由
- 安心できる環境(家庭)に戻った反動で、再び学校に行くことへの抵抗が生まれる
- 入学後1ヶ月の緊張や疲労が、ちょうど蓄積してくる時期
- 先生や友達との関係で、小さなつまずきや戸惑いが表面化しやすくなる
● よくある具体的なサイン
- 登校前に「お腹が痛い」「気持ち悪い」など身体症状が出る
- 前日までは元気でも、朝になると泣く・黙り込む
- 学校の話を極端に避ける or 逆にテンションが不自然に高い
対策|親が焦らずできること
● まずは「子どもの不調」を否定しない
「なんでそんなこと言うの?」「みんな行ってるんだから頑張りなさい」
→ これでは子どもの不安を封じ込めてしまいます。
「お腹痛いの、つらいね」「無理しなくていいよ」とまずは受け止めることが大切。
● 「話させよう」としない姿勢が大事
- 「嫌なことがあるの?」と詰問しない
- 代わりに「最近、疲れた感じある?」「楽しかったこと、あるかな?」など柔らかい会話を
- 話したくなるまで待つのも信頼関係の一部
● 登校を“フル”でなくてもOKに
いきなり全日登校を目指さなくて大丈夫です。
- 朝の会だけ参加 → 給食まで → 午後からはお迎え
といったステップ登校も◎ - 保健室登校や別室対応なども、担任や養護教諭と連携して相談してみましょう
親にできること|安心できる「基地」になるために
● 「がんばって登校」よりも「あなたは大丈夫」のメッセージを
子どもは「ちゃんと行ける自分でいたい」と思っているもの。
でもそれができないとき、責められると自己肯定感が大きく下がります。
「あなたがどうであっても大切」「休んでも大丈夫」と伝えることが、回復の第一歩です。
● 学校と連携して“チームで見守る”
親だけで抱え込まず、以下の支援を得ましょう。
- 担任の先生への状況報告
- スクールカウンセラーの相談
- 必要なら小児科や心理相談機関への受診
● 朝の生活習慣を整えるだけでも効果あり
- 就寝・起床時間を安定させる
- 朝食をしっかりとる
- 余裕を持って支度する
これらは、子どもの自律神経や安心感の安定にもつながります。
小1の登校しぶり|原因・理由・対策まとめ表
項目 | 内容 | 対策・対応方法 |
---|---|---|
発達段階の影響 | まだ親と離れることに不安が強い時期 | 「ママはいつでも応援してるよ」と伝えるなど、安心感を与える |
環境変化のストレス | 新しい先生、友達、ルールに慣れるのが大変 | 無理に話を引き出さず、家庭でリラックスできる時間を作る |
言葉にできない不安 | 心の不調を「お腹が痛い」など体で訴える | 身体症状も真剣に受け止め、否定せず共感を |
GW明け特有の揺り戻し | 家での安心を再び感じた後の再登校の不安 | 登校を段階的に。朝の会だけ・給食までなどステップ対応 |
学校での困り感 | 勉強・友達関係・トイレなどの悩み | 学校と情報共有し、保健室登校など選択肢を増やす |
家庭環境の影響 | 親の不安・生活リズム・兄弟関係などが影響 | 朝のルーティンを整える。親も落ち着いて接することが大切 |
おわりに|「学校がすべて」ではないからこそ
子どもにとって「学校」は生活の大部分を占めますが、
すべてではありません。
一時的に行けなくなったとしても、それで子どもの未来が決まるわけではありません。
大切なのは、「今、困っているわが子」に寄り添えるかどうか。
親が安心できる場所となり、「大丈夫」と思える関係性を築くことが、
子どもの回復力と自己肯定感を支える力になります。
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